坂下国際税理士事務所
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
◇◆◇   国際税務の最前線を紹介する              
◇◆◇    「Rino's Tax Diary」 Vol.12   2005.3.3
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

Rino's Tax Diaryは、全編小説の形式の中で、国際税務の最新の話題について
解説する目的で創刊いたしました。
 あわせて、日ごろ馴染みの無い「外資系企業の経理部」「国際税理士事務所・
税理士法人」などが、実際にどんな業務を行い、どんな問題に対処しているのか
を、ある程度実際に基づいて再現できれば、と考えております。
 「Rino's Tax Diary」によって、読者の皆様の一人でも、今後常識となりつつ
ある「国際課税・国際税務」の理解の助けとなれば幸いです。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
Contents
1.Rino's Tax Diary 第10話:申告期限の延長
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

◇◆◇ 1.Rino's Tax Diary (第10話:申告期限の延長)           

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

●登場人物紹介

影山リノ:税理士で入社5年目のシニアスタッフ。個人会計事務所の人間関係の
ごたごたが嫌になって、5年前に大手税理士法人に転職してきた。明るい性格だ
が、心配性。


第10話:申告期限の延長

 今日は3月1日。リノはミコちゃんと一緒にランチをしに、久々に遠くまで足
を運んだ。
「はぁ〜、やっと一段落したわ。毎年やっとの思いで1、2月を越すのよね〜。
もうへとへとだわ。」とリノ。
「ほんとだよね〜、2月が終わるとやっとゴールが見えてきたって感じだもんね。
あ〜あ、今日こそはちょっと休憩したいから、早く帰りたいな。」そう言いなが
らミコちゃんもほ〜っと溜息をついた。

 リノやミコちゃんが担当している外資系法人の決算期は、その大部分が12月に
集中している。そのため2月末までに消費税の申告納付と法人税・地方税の見込
み納付をしなければならない。法律上、原則的には決算期末から2か月以内に消
費税および法人税・地方税について申告納付しなければならないこととなってい
るが、公認会計士等の会計監査を受けなければならないことにより決算が確定し
ないため、株主総会が決算期末後2か月以内に開催できない場合等には、法人税・
地方税に限り「申告期限の延長の届出書」を提出すれば、期限を1か月間延長す
ることができることになっている。

 外資系法人について言えば、大会社はもとより会計監査が義務付けられていな
い中小会社についても「申告期限の延長の届出書」を提出している会社も少なく
ない。それというのも、日本に進出したばかりの外資系法人は、日本に経理部要
員を抱えていないことが多く、帳簿(Book)は海外の親会社でつけていることも
あり、やりとりに時間がかかることが多いためだ。そのため、期末後2か月以内
に申告書を作成することが厳しいことを見越して、事前に「申告期限の延長の届
出書」を提出しているのである。

 リノやミコちゃんが担当している会社も、そのほとんどが「申告期限の延長の
届出書」を提出しているので、実際の申告書を提出するのは3月末まででよいの
だが、2月末までにある程度税額を試算してクライアントに税金を納付しておい
てもらう必要がある(これを見込み納付という)。というのも、2月末までに税
金を納付していない場合には、本来の納付税額に対して利子税、延滞金が課せら
れてしまうからだ。これらの附帯税は、申告期限の延長をしていない法人とのバ
ランスを保つために課される一種の支払利息のような性格といえる。税務上は損
金に算入できるが、資金繰り等の関係で払わずにすむのであれば、それに越した
ことはない。そのため、リノ達は2月末までに、ある程度正確に税額を試算して
クライアントに伝える必要がある。

「ねぇ、3月は忙しくなりそう?」ミコちゃんがリノに聞いてきた。
「う〜ん、そうだね〜。いや、結構楽かも。私がやっているところって延長の届
出が出ているんだけど、2月末で終わっちゃうのが多いの。今月は死ぬほど大変
だったけど、Bookも固まっているし、決算書や内訳書も同時に作っちゃったから。
 ほんとは3月までにやればいいんだろうけど、クライアントが利子税払いたく
ないからさっさと終わらせてほしいっていうところばかりなのよ。ラッキーなの
か、なんなのかよくわかんないけど。」とリノ。

「へぇ〜、そうなんだ。私のところは半分ぐらい3月もやらなくちゃならないよ。
大体固まってるけど、何点か詰めなくちゃいけないところがあるし・・・。資料
が早く来るかどうかとか、Bookが早く固まるかどうかは、私達じゃどうにもなら
ないし、どこを担当するかは運だよね。」
「うん、確かに。昨年簡単なところでも今年は面倒ってこともあるしね。」
「そうそう、そういえば私がやっている○○会社なんだけど、今回経理担当者が
変わっちゃって、後任の人が良くわかっていないみたいなの。こういう資料を下
さいって言っても???って感じなのよね。あ〜あ、せっかく去年までちゃんと
してたから楽だったのに、今年は最悪だよ〜。」ミコちゃんは思い出したように
言った。
「え〜っ、そうなんだ。それは大変だね・・・。私でも手伝えることがあればや
るから言ってね。」
 
 同じことを前に経験したことがあるリノはミコちゃんに同情した。リノとミコ
ちゃんが落ち着く日は、もうしばらく後のようである。


                             (第10話終わり)

 
〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓

 この小説に関するご意見・ご感想をお待ちしております。
また、内容についてご質問等ございましたら、いつでもご連絡ください。

(無断の、一部又は全部の引用及び転載は禁止いたします。)

〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

発行者:坂下国際税理士事務所

Sakashita@bygones-tax.com
http://www.bygones-tax.com/

東京都中央区日本橋蛎殻町1-24-7-305
TEL:03-3664-7713
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

language
IEC

坂下国際税理士事務所
〒103-0014 東京都中央区日本橋蛎殻町1-24-7-305
Tel: 03-3664-7713
Fax: 03-3664-7719

 Copyright © 2006 Sakashita International Tax Accountant Office. All rights reserved.